旧竹内邸・常懐荘

常懐荘は愛知県小牧市の久保山に位置し、大正15年に愛知高等女子工芸学校(現在の愛知産業大学)を設立した竹内禅扣氏によって昭和8年に建てられました。1階は仏間のある和館と廊下でつながる別棟の洋館、2階は書斎としての洋室、書庫と和室を有し、昭和初期の特徴的な和洋折衷スタイルで構成されています。

常懐荘は小牧市出身の教育者竹内禅扣の私邸。晩年の2年間をここで過ごしました。
禅扣は早稲田大学にて坪内逍遥に師事、晩年まで交流がありました。常懐荘は逍遥の熱海双柿舎をモデルにしたと言い伝えられています。

常懐(とこなつ)には常に心惹かれるという意味があり、なでしこの別名でもあります。禅扣が名づけました。この花のレリーフやステンドグラスが内部随所にしつらえてあり、独自の美意識を垣間見ることができます。また、襖絵を山田秋衛(大和絵)、尾形紫船 (仮名文字)に依頼するなど、文化人との交流も深く、芸術や文学に精通していたことが伺われます。

 

 竹内禅扣は大正十五年、愛知産業大学の前身である愛知高等女子工芸学校を設立し愛知の女子教育を支え、貧しさのために進学をあきらめざるを得なかった当時の女性に学業の道を開きました。

 

 

竹内禅扣が女性を慈しんで名付けた常懐荘には、なでしこのモチーフを探す楽しみもあります。